トップページ » 人事・労務お役立ち情報 » 労働行政かわらばん216号

「労働基準法改正案」働きすぎ防止のための法制度整備

「労働基準法改正案」働きすぎ防止のための法制度整備

長時間労働抑制策

(1)中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し【施行予定:平成31年4月1日】
平成22年4月施行の労働基準法改正において、月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率は50%以上に引き上げられましたが、中小企業に対しては「当分の間」適用されず猶予されました。しかし、今回の改正案では同条が削除され、中小事業においても、月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率が、現行法の25%以上から50%以上に引き上げられます。

(2)健康確保のための時間外労働に対する監督指導の強化【施行予定:平成28年4月1日】
36協定に関する時間外限度基準に関連する部分の改正です。 この具体的内容としては、時間外限度基準告示において「限度時間(※ 1)を超えて労働した労働者に講ずる健康措置を定めなければならないこと」を規定し、この「健康確保措置」として望ましい内容を通達で示すこととされています。企業側としは、厚労省のパンフレットに記載された特別条項例をそのまま使うのではなく、実務に適合した特別条項を労使で合意していくことが適当であり、労働者の健康維持に配慮した仕事のさせ方という実質的な対応が求められます。

(※ 1)限度時間
期間1週間2週間4週間 1ヵ月2ヶ月3ヵ月1年
限度時間15時間27時間43時間45時間81時間120時間360時間

(3)定外労働の削減に向けた労使の自主的取組みの促進【施行予定:平成28年4月1日】
労働時間等設定改善指針に、「『1ヵ月100時間』または『2ヵ月ないし6ヵ月にわたって、1ヵ月当たり80時間』を超える時間外・休日労働が発生するおそれのある場合、適切な健康確保措置を講じるとともに、業務の在り方等を改善し、特別延長時間(上記(※1)の限度時間を超える労働時間)の縮減に向けて取り組むことが望ましい」旨が盛り込まれます。ポイントとなるのは「発生するおそれのある場合」とされていることから、1ヵ月経過したところでの把握ではなく、途中での把握が求められている点です。

(4)実務での対応
改正案の内容は、中小企業においても割増率を上げ、特別条項について健康確保措置を定めるように指導し、1ヵ月の途中で労働時間数を把握することで、長時間労働を早期に抑制することを目的とします。 形式的一律的な対応を講じるだけでなく、リスクがどこに存在するかを把握したうえで対症的な措置を講じることが現実的な解決策となります。また、この認識について管理職を含めた労働者に共有していくことが必要です。

有給休暇の取得促進

一定日数の年次有給休暇の確実な取得を義務付け【施行予定:平成28年4月1日】
厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会で議論されている労働時間法制改革の中で過重労働対策の一環として議論されている年次有給休暇の取得義務化は企業に対する影響が大きいものになることが予想されます。現在、40%台で推移している有給休暇の取得率を2020年には70%(政府目標)まで向上させ、労働者の心身の疲労回復や、仕事と生活の調和を図ることを目的としています。労基法上では、年次有給休暇のうち労使合意の上、年5日を超える部分は企業が計画的に付与できることとなっておりますが、現在におきましては「義務化」されていないため、労働者の有給休暇取得率の向上には繫がっていないのが実態です。今後年次有給休暇日数が10日以上ある労働者に対しては、そのうち5日について企業側が毎年時季を指定して与えることを義務付けるという内容の法整備になりますので、誤った年次有給休暇の付与や労使間トラブルを未然に防ぐためにも、今一度年次有給休暇の残日数等について事前に確認を行っておく必要があります。

支給限度額が変更になります

高年齢雇用継続給付【平成27年8月以後の支給対象期間から変更】
●支給限度額 (変更前)340,761円 → (変更後)341,015円

育児休業給付【初日が平成27年8月1日以後である支給対象期間から変更】
●支給限度額 上限額(支給率67% ※2) (変更前)285,420円 → (変更後)285,621円
           (支給率50%)    (変更前)213,000円 → (変更後)213,150円

介護休業給付【初日が平成27年8月1日以後である支給対象期間から変更】
●支給限度額 (変更前)170,400円 → 170,520円
(※2)休業開始後6ヵ月間(180日間)

厚生年金保険料率が改定されます

9月より厚生年金の保険料率が174.74/1000(折半87.37/1000)から178.28/1000(折半89.14/1000)に変わります。 10月支払いの給与から新しい料率で天引きすることになりますのでご注意ください。

労働行政かわらばん216号PDFファイルはこちら